地球環境情報学研究室
ソフトウェア

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Matlab(マトラボ)、Python(パイソン)、Julia(ジュリア)コードへのリンク

下記に開発または開発中のソフトウェアのリストがあります。まだ公開をしていないものもありますが、使用したい場合はご連絡をください。公開後、全てはオープンソースになります。主にマトラボの関数になっていますが、ジュリアやパイソンのもあります。C、C++やCUDAに適用できる場合があります。 このソフトウェアは相互に関連して、我々の研究プロジェクトと深く統合されています。例えば、「ナマハゲ」コアスキャナーと「コアアライン」(CoreAlign)を使って、画質が高い、歪みが少ない画像を掘削現場で採取できます。その後、「コアラボ」(CoreLab)を用いて、その画像から色彩値を計算することや、画像を暦年軸に合わせるため、「アンデータブル」(Undatable)から得られた年代モデルを画像に適応して変形できます。



On this page:
  • アンデータブル(Undatable)マトラボでの年代モデル作成
  • マトカル(MatCal)放射性炭素年代を補正するのマトラボとジュリア関数
  • DepthCorrect コアの深度スケールを非直線的に補正するためのマトラボ関数
  • G2N 堆積物コア年代モデルをGISP2氷コア年表からNorth GRIP(NGRIP)氷コアで使用されるGICC05年表に更新するマトラボとパイソン関数
  • コアアライン(CoreAlign)連続に撮れたコア写真を1枚の、視差などの歪みのない合成画像に繋ぐする関数
  • コアラボ(CoreLab)画像から色彩値(L*a*b*)の計算するためのマトラボ関数

Undatable – アンデータブル

アンデータブルは深度誤差を検討する年代モデルです。堆積物コアの採取時点にて試料が変形される上、それぞれの層は採取後に動くこともります。特に、採取率が低い場合や堆積速度を検討する時には、深度誤差を評価する必要があります。アンデータブルは、年代間の堆積速度が一定になっているとの仮定が不要です。アンデータブルによる解析速度は非常に速いので、様々な地質のアーカイブを対象にして、数秒で年代モデルを作成できます。ベイス統計モデルのための事前分布の検討にも使えます。ベーコンなどのベイスモデルと同じように、年代確率のクラウドを作成します。他のモデルなら、全ての年代は同じ重みを持つことになっていますが、アンデータブルはそうではありません。年代測定法や測定された試料により、精度が変わります。例えば、海洋堆積物コアから抽出した陸上の葉の年代は、堆積物中の有機物の年代より、実際の堆積年代に近い値を表しており、それらの間の重み付けをします。放射性炭素年代と暦年情報(U/Thやテフラなど)と同時にインプットが可能です。これまで、アンデータブルは深海、汽水、湖などの堆積物コアにも、サンゴのコアにも適応されています。

Githubから最新バージョンをダウンロード

論文を読む
Lougheed, B.C., and Obrochta, S.P., 2019. A Rapid, Deterministic Age-Depth Modeling Routine for Geological Sequences With Inherent Depth Uncertainty. Paleoceanography and Paleoclimatology 34(1) 122–133. 10.1029/2018PA003457

MatCal – マトカル

マトカルは、ベイズ統計を用いて、最も高い事後確率を計算して、放射性炭素年代を補正するのマトラボ関数です。ジュリア版もあります。この関数の出力は、暦年の確率密度関数と1、2標準偏差範囲です。科学雑誌の投稿にそのまま使える図も作れます。リザバー効果またはその誤差も対応しています。また、補正曲線や年代の形式(暦年:BCE/CEや年前:Cal BP)を選択できます。マトカルはアンデータブルと含まれていますが、「プライベート」フォルダに入っているため、マトラボのパスに個別に加える必要があります。

マトラボまたはジュリアバージョンをダウンロード

論文を読む
Lougheed, B.C., and Obrochta, S.P., 2016. MatCal: Open source Bayesian 14C age calibration in MatLab. Journal of Open Research Software 4(1). 10.5334/jors.130

DepthCorrect

DepthCorrectは、バルト海の最も深い海盆にあるIODPサイトM0063で採取された堆積部コアの深度スケールを非直線的に補正するためのマトラボ関数です。有機物とガスが多く堆積物に含まれているので、採取後の巨大な膨張がありました。膨張は、コア上部には特に多かったので、堆積物の上下密度変化として識別しました。全てのコアの上下密度変化から平均を計算して、対数的な曲線近似をしました。DepthCorrectは、膨張していない部分の密度を一定と仮定して、導出された方程式を用いて各コアの深さスケールを積分(つまり、曲線の下の面積)することによって再圧縮します。

この手法はサイトM0063のみに使用した掘削方法を基づいていますので、そのまま他のサイトで使用できません。掘削オペレーションでは、最初のホールで伸びた堆積物の欠損率が高かったため、それ以降は、3.3mのコアのストロークを約2mにし、1m以上の膨張量に対処できるよう、バッファーを設ける掘削作業を行いました。ほとんどのコアは、コアバレル中に完全に堆積物が充填されて、体積膨張が1.5倍以上に達していたことを示しました。

Githubからダウンロード

論文を読む
Obrochta, S.P., Andrén, T., Fazekas, S.Z., Lougheed, B. C., Snowball, I., Yokoyama, Y., Miyairi, Y., Kondo, R., Kotilainen, A.T., Hyttinen, O., and Fehr, A., 2017. The undatables: Quantifying uncertainty in a highly expanded Late Glacial - Holocene sediment sequence recovered from the deepest Baltic Sea basin - IODP Site M0063. Geochemistry, Geophysics, Geosystems 18. 10.1002/2016GC006697

G2N

G2Nは、堆積物コア年代モデルをGISP2氷コア年表からNorth GRIP(NGRIP)氷コアで使用されるGICC05年表に更新する関数です。
最終氷期に使える放射性年代測定法に限りがあるため、表層水温などの堆積物コアの時系列を、精度高い年代モデルを持つ、別の記録に対比することは一般となっています。一般的に、対比先の記録の年代モデルが更新される場合、対比し直すことは推奨されています。しかし、多くの堆積物コアのデータ、特に20世紀に採取されたコアは、その作業がされないまま、不十分に公開されています。深度スケールの情報が手元に入れない場合、再検討は不可能になります。
その場合は、G2Nを使用すれば、既に報告されているGISP2とNGRIPの対比(図のピンク線)を利用して、間接的に堆積物コアの年代モデルを更新できます。元々G2Nはマトラボ環境のみに利用可能でしたが、共同研究者のJan Morenにより、ウェブ上で使用できるパイソン版を作成しました。(ファイル名をG2N.pyからG2N.cgiに変更するだけ。)

地球環境史学会からダウンロード

論文を読む
Obrochta, S.P., Yokoyama, Y., Morén, J., and Crowley, T.J., 2014. Conversion of GISP2-based sediment core age models to the GICC05 extended chronology. Quaternary Geochronology 20(0) 1–7.

コアアライン – CoreAlign

コアアラインは、連続に撮れたコア写真を1枚の、視差などの歪みのない合成画像に繋ぐする関数です。元々、Jan Morenは、">ナマハゲコアスキャナーのために、パイソンで作成しました。ナマハゲだけではなく、多くのスキャナーでも使用できるため、マトラブでの再開発を進めています。
コアアラインはパノラマ写真を作成するソフトと同じように縦長画像を複数写真から構成されています。視差を最小限にするため、風景のパノラマ写真のソフトより精度高い手法が必要です。一方、ナマハゲを用いて撮った写真、様々に前提や仮定があるため、処理過程を大幅に簡略化が必要になります。風景のパノラマ写真のソフトは射影変換を完全に計算する必要がありますが、コア断面の写真の場合、剪断などの変形がないと仮定できます。また、全ての写真にわたって、明確な水平方向線があります。ナマハゲなら、コア断面とカメラレンスの距離が一定と、レンスの角度は90度になっていることも仮定できます。このことを担保できれば、小さな傾き補正と回転だけで、精度高い、低視差合成画像を作成できます。
それぞれの写真に、移動しているとしていない部分があれば、上記の補正は可能になります。移動していない部分は、立命館大学の中川毅教授が開発したサンプル名やカラーチャートを載せているトレーです。カメラと共に移動していますので、全ての写真が、同じ位置に写っています。移動していないはずのピクセルの高さ方向の度合いを示しています。
図は、抽出したSURF特徴とそのマッチングを示しています。(SURFはSpeeded Up Robust Featuresです。) コアアラインは開発中ですので、興味のある方は連絡をしてください。

コアラボ – CoreLab

コアラボは、ナマハゲで組み立ていた画像または従来のラインスキャナー画像や一枚の写真を処理するためのマトラボ関数です。主に4つの機能を持っています。

  • 画像から色彩値(L*a*b*)の計算
  • 擾乱の部分を色彩値計算から除外
  • 視差の補正(コア全長は一発に撮影された場合には特に有益)
  • 時間軸をもつ図に表示するため、年代モデルを利用した画像の変形す


手動または我々のAIで、乱れた領域を色彩値の計算から除外の特徴は、コアラボの最も最強な機能です。この特徴により、実際の堆積時期の色をより厳密に反映している記録を得られる。コア全長は1枚の写真に写っている場合、ユーザはスケールの目盛りを参考して、ピクセル・距離の関係を使った視差の補正により歪みを減らすことができます。歪んでいる画像のテータは、同コアから得られた他データとして正しく配列されません。深度・年代情報により変形も可能です。そうすると時間軸のある図にも画像を表示ことができます。
上の図は、DSDPサイト609のデータを使ったコアラボで作成できる例です。まずは、下部のこあ画像は1983年に一発に撮影されたので、激しい歪みがありましたが、コアラボを利用して補正しました。擾乱の部分に入っているピクセルを除外して、堆積物の明るさ(L*、赤、真ん中のデータ)を計算した。顕微鏡観察により、北極圏有孔虫N. Pachyderma (s)の割合はその上に表示されています。横軸は年代になっていますが、画像が正しく配列されています。