
授業紹介
資源地球科学コースでは、岩石学や鉱物学、堆積学、鉱床学、構造地質学など幅広い分野の学問をもとに、「現在に至るまでの地球の営み」と「石油・鉱物資源がいかにして作られるか」を学びます。また教室での授業だけでなく、野外実習を通して地質調査の技術を修得します。これらを通じて、資源分布の予測と新たな地球資源の可能性を探求する技術者・研究者となるための力を身につけることができます。
以下では、当コースの学生が受講する授業の一部をご紹介します。
地球科学概論(1年次、2年次前半)
地球科学について概観し、高校で地学を選択していない多くの学生が地球科学全体の基礎知識を広く身につけられることを目指します。地球内部の構造や地球表層での大気と海洋の循環、プレートテクトニクスによる大陸配置の変遷と造山運動、地球を構成する物質、地球の誕生から生命の進化などの基本的な内容を通して、専門課程の学習のための準備を行います。また、地球表層で起きた氷河期や海水準変動、自然災害などにも触れ、地球上で認められる自然現象を地球科学的な観点から概観します。さらに、地質学的にみた日本列島の形成についても学んでいきます。
石油地質学(2年次)
石油の基本概念、根源岩の特徴とその生成環境、根源岩の熟成過程とそれに伴う石油貯留岩への移動、石油貯留岩の特徴とその堆積環境、石油を鉱床としてとどめるトラップの形態およびシールの重要性など、石油鉱床成立にまつわる基本的な概念を学びます。さらに、国内および周辺海域、東南アジア、オセアニア、中東、北米、南米などを網羅し、石油鉱床の特徴とその成立要因を学びます。
▲約20日間かけて山の中を丹念に踏査し、地質調査を行います。野外で岩石が露出する箇所を探して、それまでに学んできた知識を総動員して岩石名をつけ、地図に落とします。また岩石を持ち帰り、さらに詳しい分析を行うこともあります。
▲踏査したルートの岩相分布図。調査結果をまとめながら、未踏査地域の岩相分布を推定し、次の日の調査計画を立てます。
▲調査結果をまとめ、発表を行います。調査結果から作成した地質図や地質断面図を用いて、調査地域の地質構造や古環境の変遷を考えます。3年生の進級論文での経験は、卒業研究のための本格的な調査に大いに役立つはずです。
偏光顕微鏡による岩石薄片観察は、岩石学をはじめとして様々な地球科学の分野(鉱物学・鉱床学・火山学・地質学や資源・エネルギー分野など)における基本的で重要な研究・調査手法です。 この授業では、偏光顕微鏡の仕組みと使い方、偏光顕微鏡を用いた主要な岩石・鉱物の鑑定方法を学びます。また、岩石の記載方法を修得し、岩石の組織からその成因を考察できるようになることを目指します。
金属鉱床分野で資源探査に対応できる地球科学系技術者になるために、鉱床周辺の岩石の特徴を認識し、流体と岩石の反応によって生じる各種元素の移動・固定機構を理解することを目指します。授業では、岩石の変質作用と粘土鉱物の基礎、および、各種の実験方法を学びます。これらを基礎として、黒鉱鉱床近傍の試錐コアの観察と記載、粉末X線回折実験、粘土鉱物の偏光顕微鏡観察、原子吸光実験を行います。最終的に、実験で得られたデータを用いて、鉱化作用に伴う岩石-熱水間の元素の挙動についての総合解析と考察を行います。
構造地質学(3年次)
構造地質学は、地球表層部の力学的な過程で生じる現象や形成される構造を扱う学問であり、資源探査や防災などにも深く関連しています。本講義では、地質構造の認識とその形成機構の理解のために必要となる以下の基礎知識や解析法を修得します。 1)破壊や変形を理解する上で必要な応力や歪などの力学的事項、2)温度圧力などの物理条件が及ぼす変形様式への影響、3)断層や褶曲などの代表的な変形構造、4)岩石鉱物の流動、5)数値地図を活用した地質構造の抽出法。
地質調査法実習A(3年次)
資源調査の基本である地質調査法の基礎を秋田市周辺での実習で学びます。実習では地形図からの自分の位置の確認法、地形と岩相との関係を実地で学んだ上で、堆積岩類の分類、層理面の発達程度、タービダイトの堆積構造、鍵層の記載、地層の走向・傾斜の測定法などを習得します。実習の後半では、並行に位置する3本のルートで地質調査を行い、各沢柱状図の作成と対比、およびそれに基づいた地質図、総合柱状図を作成し、地質調査法の基本的手法を習得します。
▲大学の裏山での歩測実習。自分の歩幅を使って測量しながら歩いて、歩いたルートの地図を作ります。
▲大学の近くにある沢での地質調査法の実習風景。3年生にとってはほとんど初めての本格的な地質調査です。さまざまな地層や岩石の見方を実地で学びながら、自分で地質図を作る練習を行います。
▲模擬地層を使って地層の走向・傾斜の測定法を学習中
資源に対する基本的な理解を目的に,地質巡検や鉱山,事業所などを訪問し,鉱床学から製品化までの流れを学びます。
巡検・見学箇所は,
▲資源学実習(鳥海山)の様子
▲採石場見学
I-EAP(集中大学英語)(1年次、2年次前半)
グローバル資源人材の基礎となる総合的な英語力の修得を目標とする基礎教育科目です。少人数クラス、授業はすべて英語で行われています。
地質図学(2年次)
野外地質調査と密接に関連する地質図作成法を学びます。講義では、地形図の読み方、コンターの変化と岩相との関係、断層などの地質構造と地形との関連について最初に学び、地質図の作成方法を理解します。作図では、単純な単斜構造の地質図作成から始まり、走向や傾斜角の変化に伴う地形図への地質図作成法、断層などの構造、背斜・向斜構造の抽出と作図方法などを学習します。さらに講義の後半では、各地域の様々な地質図から地質情報を判読し、地質構造と構造発達史を解析する手法についても学びます。
海外資源フィールドワーク(3年次)
世界の資源学最前線を学ぶべく、各国の鉱山およびそれに付随する研究機関等を1か月程度訪問し、資源学の実際を学びます。実習地域には、アジア、北米・南米、アフリカ、オセアニアやヨーロッパなどがあり、鉱山企業や石油関連企業、リサイクル関連企業、商社・国際協力機関が実習先となります。資源に関連する現場に立ち、資源国の課題や資源最前線の多くの課題について学習します。
▲インドネシアでの海外資源フィールドワークの様子。鉱山での実習、企業での業務体験、博物館や大学訪問、地質調査実習など、海外資源フィールドワークの行き先や内容は多岐にわたっています。
▲南アフリカ共和国の蛍石鉱山での鉱石観察の様子。
岩石鉱物鉱床実験(3年次)
前半は,岩石・造岩鉱物の組織や化学組成データから,それらの生成過程や生成環境を推定する方法を学びます。偏光顕微鏡観察による解析方法を学ぶほか,SEM-EDS・EPMA等の機器分析装置の原理と操作法,データの解析方法,解析結果の地球科学的意義について学びます。
後半は,金属鉱床に産出する主要な鉱石鉱物を反射顕微鏡を用いて同定する技術を学習します。授業では,反射顕微鏡の取り扱いと基礎光学特性の講義,鉱石の肉眼観察と反射顕微鏡を用いた鉱石鉱物の観察を行い,発展的内容として,鉱物組織・共生関係・晶出順序の観察に基づく鉱床学的記載の基礎を学習します。
▲SEM-EDS(エネルギー分散型電子線マイクロアナライザー)を用いて造岩鉱物の組織観察や化学組成分析を行い、岩石の形成過程を考えます。
▲黒鉱鉱石顕微鏡写真(秋田県大館市釈迦内鉱山産)。黒っぽい岩石を丹念に磨いて顕微鏡で見てみると、未知の世界が広がっています。
▲ある研究室における朝ゼミ風景
資源地球科学コースでの大学4年間の時間割
資源地球科学コースの授業の履修モデルです(クリックで拡大)。
→国際資源学部HPの「カリキュラム」のページもご覧ください。
取得可能な資格