モナザイト

 モナザイトは軽希土類元素リン酸塩であり, Th・Uも豊富に含む副成分鉱物である. その産出は多岐に渡る.

 火成岩には, 主にS-type などCa含有量の少ない花崗岩に多く含まれる. Caの多いI-type花崗岩では, 褐簾石が軽希土類元素のホストフェイズとなることが多い. wt%オーダーでNdを含むことから, 放射性Nd同位体組成を粒子毎・粒子内で測定することが可能であり, 開放系マグマシステムの検証に非常に強力なツールとなる.
変成岩はバルク組成によりその出現は大きく支配され, 泥質源岩の変成岩では緑色片岩相に当たるような低変成度でも結晶化する. 変成度の上昇に伴う共存鉱物の変化に起因する, 化学組成変化と年代情報を組み合わせることでP-T-t path(圧力・温度・時間)を描く上での重要な情報を与える.

 モナザイトの特徴の1つに砕屑性モナザイトの応用例があげられる. 1粒子から年代測定が可能であるため, 岩石から削剥・運搬・堆積を経た堆積物や堆積岩中に含まれる粒子を用いて後背地の基盤岩の情報を得ることができる.
モナザイトでは微量元素を組み合わせることで粒子それぞれの起源を推定することが可能であり(Itano et al., 2018), 過去の造山運動を解き明かす手法の1つとして確立されつつある (Itano et al., 2016).