教授からのメッセージ

 分子細胞生理学研究室では、生体防御を司る免疫系に焦点を当てて研究を行っています。免疫細胞群は、異物の体内への侵入やガン細胞の増殖から、どのように体を守っているのか?また、そのような仕組みが破綻してしまったことに起因すると考えられる様々な免疫疾患の発症原因や新規治療法を見つけ出そうと日々実験を行っています。

 私は、研究は、別の言い方をすると知的な冒険であると考えています。冒険であるが故に、なかなか成功しませんが、成功したときには、世界中でまだ誰も知らない結果や成果が得られ、これまで治すことのできなかった病気の治療法の開発や、全く知られていなかった免疫応答の仕組みを明らかにすることができます。私たちは、これらの成果を主に論文という形で世界に還元することで、基礎研究のみならず新薬開発や医療の発展に貢献できることを期待しています。

 では、冒険を成功させるには、どうすれば良いのか?ということですが、例えば、何の準備もなく闇雲に実験を重ねることは、冒険ではなく、ただの無謀かつ無計画な旅に過ぎません。これまで世界中の研究者がどのような成果に基づき研究を行ってきたのかという過去の知識の蓄積、また、いったい何が解明されていないのか?という目標となる疑問をしっかりと学び理解した上で、自分なりの工夫を加えて試行錯誤を繰り返すことが大切であり、それが冒険の出発点だと思います。さらに、冒険に出発した後は、自分の出した実験データに客観的に、かつ丁寧に耳を傾ける姿勢が、自分は今どこにいるのか?間違った道に迷い込んでいないか?という現状把握に必要不可欠です。もちろん、このような考え方やプロジェクトの進め方を研究・実験を通して体得することは、研究以外の局面においても大いに役立つのは言うまでもありません。

 近年、基礎研究は、学問の世界に留まらず広く世界に貢献する時代が訪れつつあります。学生の皆さん、基礎免疫研究という切り口から、まだ世界中の誰も行ったことのない、未知のフロンティアを一緒に冒険してみましょう。

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