資源処理・製錬工学研究室|資源開発環境コース

資源処理工学と研究室の活動

 研究概要で述べたとおり、鉄や銅、レアメタルなどの金属は鉱物資源から生産されます。鉱山で「鉱石」として産出された状態では品位が低く、通常は多くの不純物を含んでいます。このままでは経済的価値を伴っていません。採掘された鉱石から、有用成分(=有用鉱物)を取り出し、濃縮する工程が必要です。この一連の工学技術を資源処理工学といいます。これら分離・濃縮操作が行われることで、鉱石は価値を持ち、世界のマーケットで取引されることになります。金属鉱石だけではなく、石灰石や石炭など非金属鉱物にも共通しています。将来的には、海底から採掘された新たな鉱物資源(海底資源)が対象になるかもしれません。多様な産業を支えるために、一定量・一定品位の原料を安定して供給することが大事なのです。ちなみに我々の研究室では、資源処理工学の幅を広げ、鉱石から有用成分を回収するだけではなく、金属として純度を高め、精製する分野まで扱っています。そのためには、物理選別や化学的な溶解操作、溶液化学や電気化学などを利用した湿式分離プロセス、加熱処理を用いた高温での分離操作が重要になります。我々にとっては、これらの技術開発が主たる研究活動といえます。
 一方、鉱石が金属に加工・精製されると、様々な素材・製品として利用することができます。最新の電子機器や自動車はもちろん、豊かな社会を支える最新製品として広く利用されています。ところが、いつかは”使用済み製品”として廃棄されるのも事実です。この廃棄された製品には、当然のことながら鉱石から生産された有用な金属がたくさん含まれています。これらが集まると、いわゆる「都市鉱山」としての価値を持ち、リサイクル原料になります。そうです、鉱山で使われた技術が再び登場するわけです。資源処理工学で使われた方法に少し手を加え、味付けや調理法を変えれば、都市鉱山からの金属回収=リサイクルが可能になります。
 我々は地球に優しく、持続可能な資源生産と資源開発のための実用技術を開発しています。地球上の天然資源が永遠に利用できるとは限りません。そうならないためにも資源の持続性を考えることが重要です。できるだけ早い時期に資源循環のための技術やシステムを確立する必要があります。
 未来の地球を考え、持続可能な社会を作るためにも、これらの研究開発が重要な役割を果たしています。皆さんと一緒に研究できる日を楽しみにしています。

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