
1)材料理工学とは?
材料理工学とは、鉱物などの原料から目的にかなう機能を有する材料を生み出すための理論と方法を研究し、さらにその材料を製品にするときに必要になる技術を開発する学問です。たとえば自動車のボディーに使われている鋼板をイメージしてみてください。原料は鉄鉱石(鉄が酸化したもの)ですが、それを溶鉱炉で還元することによってどろどろに溶けた鉄にします。これを適当な形の鋳型に流し込み、冷え固まった鉄の塊に再度熱を加えたり、薄く延ばしたりすることによって、強度と加工性を備えた自動車用の鋼板が誕生します。鉄鉱石(原料)のままでは利用価値はありませんが、人間が手を加えることによって社会生活に不可欠な材料へと変身したのです。この鋼板を作製するには、鉄鉱石の還元理論、鉄を熱したときのさまざまな性質、鉄の塊を薄い板に加工する技術など沢山のことを解明しておかなければなりません。材料理工学がこれらを解明するのです。
下の図を見てください。我々材料理工学コースでは、社会生活に役立つ材料を創製するために、そこに在る理論や物理的・化学的な性質を評価する技術を研究しています。我々は、加熱や加工などの処理技術、高度な計算機シミュレーションに基づいた理論的な予測、複雑な化学反応を制御する技術など、理論と技術を武器にして、そして自らの頭脳と手を使って材料作りをがんばっています。
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