Masahiko Hayashi

秋田大学教育文化学部 英語・理数教育講座
林 正彦(教授)
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※アップデート中です。やや情報が古いです。ご了承下さい。


研究分野:物性理論(特に、超伝導・電荷密度波などの凝縮系の物性)

研究課題:

1) 超伝導体の物理
・高温超伝導体の物理
高温超伝導体の物性についてt-Jモデルを用いた研究を行っています。 超伝導秩序形成過程におけるゆらぎの効果[1]や、 オーバードープとアンダードープの界面の効果に関する興味深い結果[2,3]を得ました。
参考文献:
[1] A. Kumagai, M. Hayashi and H. Ebisawa, J. Phys. Soc. Jpn. 70, 509 (2001).
[2] M. Hayashi and H. Ebisawa, Physica C 388-389, 29 (2003).
[3] M. Hayashi, Ann. Phys. (Leipzig) 13, 62 (2004).
・量子渦糸の物理
超伝導体中に出来る渦糸の物理に関する研究を行っています。 渦糸液体相および格子相におけるダイナミカルな電磁応答[1,2]、 渦糸のコアに出来る準粒子の束縛状態の散逸への影響[3,4]、 コルビノ形状の超伝導円盤における渦糸対生成・消滅によるダイナミカルな 相転移(クロスオーバー)の可能性[5]、 等を研究しています。
参考文献:
[1] M. Hayashi and H. Fukuyama, J. Phys. Soc. Jpn. 63, 3369 (1993).
[2] M. Hayashi, J. Low Temp. Phys. 100, 415 (1995).
[3] M. Hayashi, J. Phys. Soc. Jpn. 67, 3372 (1998).
[4] 田中秋広,林正彦,固体物理 35, 50 (2000).
[5] M. Hayashi and H. Ebisawa, J. Phys. Chem. Solid 66, 1380 (2005). preprint (236K)
・微小超伝導体の研究
ナノテクノロジーによって可能になった微小な超伝導の物理を調べています。 研究対象としては、微小な超伝導リングにおける超伝導ゆらぎ[1]、 超伝導ネットワーク系における相転移[2,3]があります。
参考文献:
[1] M. Hayashi and H. Ebisawa, Physica C 252, 191 (2001).
[2] M. Hayashi, H. Ebisawa and M. Kato, Physica C 426, 136 (2005).
[3] M. Hayashi, T. Suzuki, H. Ebisawa, M. Kato and K. Kuboki, in Proceedings of ISQM-Tokyo 2005. preprint(300K)
2) 電荷密度波の物理
・横電場効果と"混合状態"
電荷密度波の1次元軸と垂直に電場を書けると、位相欠陥が 生成されて、超伝導体の混合状態と類似の状態が現れます。その可能性について 理論的に指摘しました。[1]
参考文献:
[1] M. Hayashi and H. Yoshioka, Phys. Rev. Lett. 77, 3403 (1996).
・電荷密度波の位相欠陥の物理
電荷密度波の位相欠陥は超伝導体の渦糸と同様に凝縮体の 伝導や散逸をになう重要な励起です。 そのダイナミクスについて、現象論に基づいて議論し、 Ginzburg-Landau理論のレベルではゲージ普遍性が破れている ことを指摘し、それが準粒子の寄与による物であることを 明らかにしました。また、そのダイナミクスに対する影響を研究しました。[1] さらに、位相欠陥が存在することによる凝縮体のソフト化について 理論的に研究しました。[2]
参考文献:
[1] M. Hayashi, in "Quantum Coherence and Decoherence-ISQM-Tokyo '98", Y. A. Ono and K. Fujikawa, eds. (Elsevier,1999, Amsterdam)
[2] M. Hayashi, Physica B 324, 82 (2002).
3) トポロジカル結晶の物理
・トポロジカル結晶の弾性論と位相欠陥
近年、合成されているトポロジカル結晶(ナノチューブやNbSe3のリングなど トポロジカルに自明でない構造を持つような結晶)は、新しい材料として注目されて いるだけでなく、物理的にも興味深い研究対象です。どうして通常の結晶格子ではなく リングやチューブ、メビウスの帯など、不思議な形状が選択されるのかについては まだよく分かっていません。これらの結晶の形状に大きな影響を及ぼす位相欠陥を 弾性論の手法で研究しています。特に、トポロジカルに自明でない結晶の記述に 必要となる微分幾何的取り扱いについて[1]にまとめました。 これを用いてリング結晶の弾性論の研究も行っています。
参考文献:
[1] M. Hayashi, Phys. Lett. A 342, 247 (2005). ( preprint version, 308K)
[2] M. Hayashi, H. Ebisawa and K. Kuboki, Europhys. Lett., 76 , (2006) 264-270.
・トポロジカル結晶の電子物性
主に、超伝導や電荷密度波状態の出現する、NbSe3などの遷移金属カルコゲナイドからなるリングやチューブや メビウスの帯状結晶について、超伝導物性や電荷密度波物性を調べています。 特に、超伝導のメビウスの帯については、Little-Parks振動に異常が出ることを指摘しました。[1-4]
参考文献:
[1] M. Hayashi and H. Ebisawa, J. Phys. Soc. Jpn. 70, 3495 (2001).
[2] M. Hayashi, H. Ebisawa and K. Kuboki, Phys. Rev. B 72, 024505 (2005).
[3] M. Hayashi, T. Suzuki, H. Ebisawa, M. Kato and K. Kuboki, in Proceedings of ISQM-Tokyo 2005. preprint(300K)
[4] M. Hayashi, T. Suzuki, H. Ebiswa and K. Kuboki, in Proceedings of TOP2005 preprint(404K)
4) 摩擦現象の物理
・1次元質点-バネ系における摩擦現象の数値シミュレーション
アモントン-クーロンの法則など摩擦の基本現象の解明を目指し、単純な低次元系での 数値シミュレーションを行っています。
参考文献:
[1] 林正彦,物性研究 81 853 (2004). preprint(280K)

担当する講義:

平成20年度
物理学概論I(真空の電磁気学)、物理学概論II(物質中の電磁気学など)、 量子力学、振動と波動

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